ピル相談外来 もう生理に振り回されない!自分でコントロールしてもっと自分らしい毎日を。

生理のつらさ、
我慢していませんか?

勉強・部活・仕事など100%の力を発揮したい時(そして思いっきり遊びたい時)、こんなことを思いませんか?
「『生理』が重なってしまったらどうしよう」

生理の期間ではないのに、イライラして、愛おしい人に攻撃的にあたってしまう。どうしようもなく憂鬱(ゆううつ)で不安で・・・、不思議と涙が出てくる。本当は人に優しく接したいのに・・・、本当は楽しく笑っていたいのに・・・。

まだ来ぬいつか、子どもを産む女の子にとって大切な現象だから。みんな辛いのを耐えているんだから。我慢しなくてはいけないものだから。
そして「受け入れなければいけない」ものにうまく対応できない自分への情けなさ、悔しさ・・・。

「生理」という言葉は、もともとは「体の必要な働き」ということを意味します。つまり、「月経」も「体に必要な働きなので我慢しなければならない、耐えなければならない」というイメージがあるのかも知れません。

生理にまつわること。
「みんなつらいから、頑張っているんだから。私も我慢しなくてはいけない・・・」それって本当なのでしょうか?

~現代女性は月経回数が増えている~
約450回の月経を
見直してみましょう。

昔に比べ現代の女性のライフスタイルは著しく変化しました。
一昔前、1人の女性が5~6人出産し完全母乳で育てる、というのが一般的だったわけですが、現在では生涯に出産する子供は1-2人、授乳もミルク(人工乳)を使用する、というスタイルになっているわけです。
これはすなわち、女性の生涯月経回数の増加に繋がっています。

現代社会に生きる女性は単純計算で生涯に約450回の月経を経験することになります。
これは、昔の女性にはあり得なかった回数で、すでに「野生生物であるヒト」として神様が想定していた回数をはるかに上回っている状況と言えるのかもしれません。

このように、現代に生きる女性は、過去にはあり得なかった途方もない回数の月経を経験しなければならない運命にあります。

そして女性の「月経経験回数の増加」が例えば子宮内膜症や卵巣がんなど様々な病気の増加につながっていることが次第に明らかとなってきています。

月経経験回数の比較

※表は横にスクロールできます。

  1. 初経年齢の早期化
  2. 初産年齢の上昇(晩婚・晩産化~未婚化)
  3. 出産回数の減少
  4. 妊娠・出産・産褥無月経期間の短縮(人工乳の発達など)
  • 月経暴露期間
  • 妊娠・産後無月経期間

ピルの利点

ピルの利点①
月経コントロール~生理は変えられる、生理の日も変えられる~

生理を軽くして快適に。

女性の日常生活に強く作用する月経、そしてその経験回数の増加・・・・
現代に生きる女性は本当に大変です。

このような状況の中、薬を使って積極的に生理をコントロールしていこう、という考え方が広まりつつあります。
使用する薬剤はいわゆるピル、低用量ピルです。

低用量ピルとは、ご存知、経口避妊薬のことです。
当初は避妊を目的に開発された薬剤ですが、避妊目的にピルを使い始めると、多くの場合生理が軽くなることが知られていました。
それ以外にも、月経前症候群(いわゆるPMS)をやわらげたり、ニキビや多毛の改善など美容面で効果があったり、将来、子宮内膜症や卵巣がんなどいくつかの病気になることを予防したりする効果もあることが知られています。

このため、2008年からは低用量ピルが「月経困難症(いわゆる生理痛)」の治療薬として健康保険の適応となりました。

ピルというと、一昔前は「避妊」というイメージでしたが、今では避妊目的で内服を希望する人はむしろ少数派で、「生理を軽くする」などの「生理をコントロールするために」使用している人の方が多数派となっています。

生理の回数をも減らせる!
日も自分で決められる!

ほとんどの低用量ピルは28日分がワン・セットになっていて、生理の周期も28日周期で順調に来るようになります。
ところが最近、この「ピルは28日周期」という常識を打ち破る使用法が広く用いられるようになってきました。
実薬(ピルの成分が含まれている錠剤)を最長120日内服して休薬(ピルを飲まない期間)を4日間作る方法などです。
この方法だと何と生理は最長124日周期=年3回にまで減らすことができます。

また、実薬は何も120日に限る必要は無いので、
「今ならいいタイミングだな。」「そろそろ来させておこう!」
という感じで、自分に都合のいい時に生理を起こさせることさえも可能になるのです。

そんなに長い間生理を起こさないで大丈夫なの?

大丈夫です。

ピルを28日周期ではなくそれ以上の周期(例えば実薬を84日内服して7日休薬する、など)は2000年ごろから盛んに報告されています*1-2
科学的根拠に基づく医療情報源として世界的に最高水準にあるとされている「コクランレビュー」にも以下のように記載されています*3

The avoidance of menstruation through continuous or extended (greater than 28 days) administration of combination hormonal contraceptives (CHCs) has gained legitimacy through its use in treating endometriosis, dysmenorrhea, and menstruation-associated symptoms. Avoidance of menstruation through extended or continuous use of CHCs for reasons of personal preference may have additional advantages to women, including improved compliance, greater satisfaction, fewer menstrual symptoms, and less menstruation-related absenteeism from work or school.

(ピルを使って月経周期を28日以上に延長して月経を避けることは、子宮内膜症、月経困難症や月経随伴症状の治療として適した方法となっている。さらに、個人の好みにより月経をコントロールすることは、コンプライアンスの向上、満足度の向上、月経随伴症状の減少、生理休暇の減少など女性にとって利点があるのかもしれない。)

  1. *1 Obstet Gynecol 98(5):771-778, 2001
  2. *2 Contraception 68(2):89-96, 2003
  3. *3 Cochrane Database Syst Rev 29(7):2014

将来妊娠しにくくなりませんか?

ピル服用によって将来妊娠しにくくなることはありません。
むしろ有利に働く可能性があります。

ピル使用中は薬の作用で排卵が抑えられていますが、服用を中止すれば速やかに通常の状態に戻りますので長期間服用を続けても妊娠しにくくなることはありません。
また、後述しますが、ピル内服は現在不妊治療の現場で最も苦渋する病態の一つである「子宮内膜症」の発症率を低下させる可能性があると考えられていますので、将来の妊娠にはむしろ有利に働くものと思われます。

ピルの利点②
妊活準備~「いつか産むために」、今をピル周期にしておく~

ピルで内膜症が予防できる。

不妊治療の現場で患者様を拝見していると、多くの方が「子宮内膜症」を併発なさっていらっしゃいます。
子宮内膜症は、そのものが不妊の原因になるばかりではなく、内膜症の手術を受けられた若い方が閉経寸前のような状態となり、絶望的な状態になってしまうことすらあります。
こうした方々の多くが「昔から生理痛がひどかった」とおっしゃられます。

一方で、生理痛が強い方が若い時からピルを使用していると将来子宮内膜症になるリスクが下がることが知られています。

現在内膜症で悩まれている方の中には「ピルで内膜症が予防できることをもっと早く知りたかった」「若いころにピルでコントロールしておけばよかった」と自分を責めてしまわれる方もいらっしゃいます。

いつか産むために。

まだまだ遠い将来のことのように感じてしまうと思うのですが、実は今、知ること、そして判断しておくことがとても重要なのです。

今の日本ではピルに対する抵抗感が強いのですが、今、何もしないまま放置してしまうと将来不妊になってしまうケースが非常に多いのです。
ピルには、将来の不妊を防ぐ、という利点もあります。
将来の自分のために、今、知る、そして判断しておく、ということがとても大事なのです。

ピルの欠点
~安全に飲んでもらうために
知ってほしいこと~

「副作用がありそうだから、体への影響がありそうだから。やっぱり自然のままにしておく方が。」

その通りでピル内服には気を付けなければいけないことがいくつかあります。大きくは①子宮頸がん②乳がん、そして③血栓症です。

安心して飲んでもらうために、そして何より安全に飲んでもらうために、あらかじめ皆様の状況をお伺いし、時には処方をお断りさせていただくこともあるのです。(より安全な手段をご案内させていただく場合もあります。)

そして内服が可能な状態の方にも、これらについてはしつこいほど詳しくお話しさせていただくことになります。
そうすることで、今まで以上に健康に気を使っていただき、健康管理をしてもらい、積極的な定期検診の利用に結び付けていく。即ち、ピル内服開始を、逆に意識改革のいいきっかけとして結び付けていっていただきたいのです。

ピルの欠点
少し「血が固まりやすい」体質に変化する。

血栓症とは?

血管の中で血液が固まってしまったものを血栓といいます。
実は日常、毎日毎日皆さんの体の中で血栓はできているそうです。

「えっ??血管の中で血が固まる???」

こう聞くとビックリするかも知れませんが、日頃から血栓は体のあちこちで出来ては溶け、出来ては溶けしているそうです。「健康な人でも毎日毎日がん細胞はできている。でもほとんどは壊されている。」なんて聞いたことがあるかと思いますが、これと似ていますね。

血栓もほとんどは自然に溶けるようになっていて、日常症状が出るほどの状態になることは稀、というわけです。でも一度症状に出ると、脳梗塞だったり心筋梗塞だったり・・・恐ろしい病気になります。時には命に係ることもあるわけです。このように血栓が原因で症状が出ると「症」の字が付いて、「血栓症」と言います。

ピル内服中は血栓ができやすい方向に
少し振れる。

同じ人でも、長時間安静にしたりストレスを受けた直後は血が固まりやすくなります。一方で、有酸素運動をした後は血栓を溶かす力がアップしているそうです。このように、1日の内でも「血の固まり易さ/溶けやすさ」は変動しているわけです。

この「血の固まり易さ/溶けやすさ」は生活習慣でも変化します。

タバコを吸う人、血圧が高い人、肥満の人は「血が固まりやすい」方に振れています。脱水の人や妊婦さんも「血が固まりやすい」方に振れています。高齢の方も「血が固まりやすい」方に振れています。そして、ピルを内服している人も少し「血が固まりやすい」体質に変化する、というわけです。

安全に服用いただくための約束

約束①
ピルは「飲まない方がいい」人がいます。

今までの経験から「こういう人は血栓症になりやすいので飲まない方がいい」というのがある程度わかっています。
安全に飲んでもらうために、あらかじめ皆様の状況をお伺いし、処方をおススメしないことがあります。

約束②
ピルを飲むなら「ピル博士」になりましょう!

何より「ピル内服により血栓症を起こす可能性がある」という意識をみなさん自身が持つことが重要です。
そしてピル内服による血栓症には、経験的に「起こしやすいパターン」があることが知られていますので、これを避けるようにしましょう。

約束③
万一の時には即受診、そして「医師に疑ってもらう」

どんなに優秀なお医者さんでも何もなしにいきなり「血栓症」を疑うのは非常に難しいですが、「ピルを飲んでいる」と聞くと、真っ先に「血栓症」を疑ってかかります。万一の受診の時には、先生に「ピルを飲んでいる」ことを告げてください。

ぜひ相談にいらしてください

人間、痛いことは嫌なのです。
「痛い」とわかっている注射を受けたい人はいないわけです。「痛い」とわかっている歯医者さんに行くのは憂鬱になるのです。
「痛い」とわかっている生理も同じです。しかも生理は避けて通ることはできないわけです。

「副作用が怖いから」
そうです。なので無理強いはしません。リスクが高い方には処方もしません。

安全に飲めそうな方に安全に飲んでいただく。ちゃんと勉強してもらって、納得してから飲んでいただく。これを「インフォームド・チョイス」といいます。

一人でも多くの女性が生理の苦痛から解放され、そして何より「将来、不妊にならないように」。
われわれ産婦人科医共通の願いです。お気軽に相談にいらっしゃってください。

武蔵境いわもと婦人科クリニックにお越しいただく場合

中学生の女の子が部活の合宿に、高校三年生の女の子が大学受験の時期に、バリバリ働く女性が大切な仕事があるときに……いつなんどきでも、意志とは無関係にやってくる。人生において最高のパフォーマンスを出さなければいけないときさえも生理は来ます。女性は本当に大変です。

ところが今では、ピルを使用することにより月経を軽くすることが可能となっただけではなく、フレキシブル投与法を用いることにより月経回数を減らすことすら可能となってきています。
さらに「今のうちに生理を起こしておこう」「この大切な時期には生理が起こらないようにしよう」などと自己管理も可能な時代となりました。

そして何より「将来妊娠するための準備として」今をピル周期にしておいた方がいい場合すらあるのです。

当院では皆様が快適に日常生活を送っていただけるように、そして何より「妊活準備」として=将来「不妊」で悩む方が一人でも減るように、情報提供を行っていきたいと考えております。

しかしながら一方でピルにはリスクがあるのも事実です。リスクについても情報提供を行います。
皆様の状況によってはピルをお勧めしない場合もあります。

当院の役割は「情報提供」だと考えています。
皆様は情報収集をして頂き、是非とも「良い選択」をなさってください。
応援しています。

費用はどの位かかりますか?

月経困難症(生理痛)に対応する場合、保険診療の範囲内となります。

自費診療の場合、ピル処方は当院では1シート2,000円(税別)で、受診料などその他の費用は掛かりません。
なお、保険診療では処方できないピル(第三世代と呼ばれるピル)があり、これが最適である、と考えられる場合、自費で第三世代ピルをお勧めさせていただくことがありますが、その場合も保険診療の3割負担と同等か、逆に安くなる場合もあります。

受診すると内診がありますか?

症状がない場合(避妊目的)では基本的には行いません。症状がある場合には適切な診断のため拝見させていただくことがあります。

性交経験がない場合などはお腹からの超音波で拝見させていただくことも可能ですし、まずは症状を和らげてから、追々詳しく検査していくなどでも構いません。
ご希望に沿いながら専門医として適切な診療を行ってまいりますので、ご要望がございましたらお申し出ください。

他院で処方を受けているのですが?

ピル使用の禁忌/慎重投与に相当しなければ当院で継続診療可能です。

当院にご受診いただきました際には、再度問診をさせていただきます。
この際、ピル使用の禁忌・慎重投与に相当しなければ当院で継続診療を承ることが可能です。
一方、禁忌・慎重投与に該当している場合は、他院で処方を受けていらっしゃっても、当院では処方できない場合がございます。
前出のごとく、ピルの副作用は起きてしまうと重篤なものとなる可能性がございますので、何より「安全に飲めそうな方に安全に飲んでいただく」のが大原則です。

  1. まずはお電話にてご予約下さい

    0422-31-3737
    (電話対応:月〜土の一般診療時間)診療時間はこちら

  2. 御予約の時間にご来院下さい

  3. 看護師とのピル相談の実施

    不安な点・疑問に感じる点などをお気軽にご相談ください。
    ピル使用の利点/欠点をお話しさせていただきます。
    一緒に考えていきましょう!

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